2018年5月20日(日)〜7月1日(日)、茅ヶ崎市美術館のエントランスホールにて「いしのこえ」の特別展示が開催されています。その様子とメイキングを少しだけ紹介いたします。

 
エントランスホールと作品「いしのこえ」

海の音に満ちたエントランスホールの様子

 
 

制作のインスピレーションやメイキング

 
 

「点字をうたうクマ」「点字をうたうバッファロー」.なでることで、実は石にもメッセージを届けています

 
 

ワークショップに参加してくれた中学生のスケッチ

 
 

今回の作品の再展示にあたり、今、この時期にまた作品を紹介するならば、
どのように来場者の方に体験いただくのがよいのか、といろいろと思いを巡らせました。

すでに2年前に来館されて、作品を体験されている方もいらっしゃるため、
できれば、「あの時、あの場所で何が起こっていたのか、なぜその作品を作ったのか」という
想いそのものを、今、再構成する必要があるのではないかと思っていたのです。

そこで、今回は音空間デザイナーの原田智弘さん(ソラソレ堂)にご協力いただき、
今回は、海を美術館に連れてきてしまうような空間、
そして来場者の方も、中学生たちが石を選んだ時の時間に寄り添えるような空間を作れないかどうか、
相談させていただくことにしました。
 

エントランス空間のアイデアスケッチ

図は、作品「いしのこえ」があるエリアを波打ち際に、
エントランスの奥にあたるエリアはもっと深い深海の様子をイメージしています。

原田さんは、「石の気持ちになって音を体験する」という
私たちの想像をはるかに上回るような提案をしてくださり、
その空間構成をつくるためのレコーディングプランを立ててくださいました。

波が自分の方に打ち寄せてくる音、その波の左右のパン。
深さによって水の質量まで感じられる波の低い音や、
打ち寄せた後に引いていく波の砂とのぶつかり合いや泡の高い音。
そして遠くの方の荒い波の音や漁船のモーターの音。

レコーディングは、他のノイズをさけるために真夜中に行いましたが、
星空の中、たくさんの高精細な音の粒を虫眼鏡で覗くように聴くことができるのは、本当に至福の時間でした。

 

茅ヶ崎海岸の朝焼け

 

原田さんの音空間は、「深海と海辺の間における 辿り、旅、道、歩み、進化、退化」というイメージで
「Trace」と名付けられています。

海の音や原田さんのつくる音の世界が、
どちらかといえば無機質な性質の私たちの作品の音を、あたたかく包んでくれているようにも感じます。
その音と作品の音との掛け合いもぜひ体験していただけると嬉しく思います。

写真だけではなかなかお伝えできない空間になっていますので、
お近くにお立ち寄りの際には、ぜひとも美術館へお越しください!

 
 

触覚に基づく新たなデザイン「HAPTIC DESIGN AWARD2017」優秀作品選出記念特別展示|MATHRAX「いしのこえ」 

会 期:2018年5月20日(日)ー7月1日(日)
時 間:10時ー18時(入館は17時30分まで)
休館日:月曜日
会 場:茅ヶ崎市美術館 エントランスホール(▶︎アクセス
観覧料:無料
主 催:公益財団法人茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団
協 力:茅ヶ崎市立西浜中学校、茅ヶ崎市立松林中学校
特別協力:ソラソレ堂(環境音サウンドインスタレーション)、湘南工科大学総合デザイン学科

 
 
 
MATHRAX