作品「ステラノーヴァ」についてご紹介しています。
ステラノーヴァは、「新星」という意味をもつインスタレーション作品です。
「新星」という言葉は、まるで新しい星が誕生するようなイメージを想起させますが、そうでありません。すでに活動を終えた暗い星が、別の星の接近によって化学反応を起こし、明るく輝く現象をさします。かつて人はその様子を見て、新しい星の命が生まれたのだと想像したのです。
photo: kenji kagawa
この作品「ステラノーヴァ」は、惑星をイメージした円形のインターフェースに体験者が手を近づけたり、直接触れることで、音を奏でることができます。またその音は、周囲の立方体のオブジェにも呼応してサラウンドに広がっていきます。
この作品の特徴的な点は、体験者が他者との出会いを経て世界を認識し、複雑な調和を志向してゆく、段階的なプロセスを含んでいるところです。そしてこれらのプロセスは、体験者が音を意識することによって自発的に進んでいきます。
ただし、これは必ずしも全てのプロセスを経るべきという意味ではありません。この空間では、他者の様子を傍観することもできれば、誰かと共に新しい世界を創造することも可能です。誰かが他者との出会いによって新しく生まれ変わっていく時の音の現象こそが、この作品がステラノーヴァという名を持つ理由です。
写真は美ヶ原高原美術館での展示の様子です。
記事のアップが大変遅くなってしまいましたが、撮影させていただきましたご家族の皆さま、長野・美ヶ原まで来てくれた写真家のkenji kagawa、素晴らしい展覧会に関わってくださった全ての皆さまに御礼申し上げます。
MATHRAX