8月14日(土)-15日(日)、神奈川県横浜市西区の紅葉ケ丘文化ゾーン(神奈川県立音楽堂、図書館、青少年センター)にて、東京2020 NIPPONフェスティバル ONE-Our New Episode- Presented by Japan Airlines 「Our Glorious Future 〜KANAGAWA 2021〜」が無観客開催されました。MATHRAXは、音楽堂のホールにて「ステラノーヴァ」という作品を出展しました。

映像についてはこちらのページでご紹介しています。

photo : kenji kagawa

ステラノーヴァ〔Stella nova〕は、「新星」という意味をもつ体験型のインスタレーション作品です。
「新星」という言葉は、まるで新しい星が誕生するようなイメージを想起させますが、そうでありません。すでに活動を終えた暗い星が、別の星の接近によって化学反応を起こし、明るく輝く現象をさします。かつて人はその様子を見て、新しい星の命が生まれたのだと想像したのだそうです。

この作品「ステラノーヴァ」は、惑星をイメージした円形のインターフェースに体験者が手を近づけたり、ふれることで音を奏でます。またその音は、周囲のキューブ型のオブジェにも呼応し、星のように瞬きます。

二人の体験者の奏でる音が重なり出会う時、その音は、宇宙に見立てたホールの空間全体に響き渡ります。この作品におけるステラノーヴァとは、人が他者との出会いによって新しく生まれ変わっていく時の音の現象をさしています。

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ステラノーヴァは、もともと2015年に美ヶ原高原美術館で開催された展覧会のために制作した作品でした。新型コロナウイルスのパンデミックにより、人に会って話をしたり、触れることも敬遠される日々が続く中、ぜひこの状況と作品をリンクさせるような展示計画ができればと考え、今回は音楽堂を宇宙に見立て、「舞台」と「客席」という離れた場所から、「音を通じて体験者同士がコミュニケーションを図るような空間」としてしつらえていきました。

会場となった神奈川県立音楽堂は、日本で初めての音楽ホールとして1954年に建築家の前川國男によって作られたものです。その素晴らしい空間と音響を来場者の方にはぜひ体験していただきたいと思っていたのですが、残念ながら、展覧会はオリンピックに合わせて無観客開催となり、体験型の作品であるステラノーヴァは、記録撮影を依頼していたクルーとその出演者、主催関係者のみのクローズドな公開となりました。

ここに来場者の方が来てくださったらどんな風景になっただろうと思うと当初は落胆の思いでしたが、記録撮影の体験モデルを依頼した盲導犬ユーザーの小倉慶子さん、盲導犬のブリスちゃん、加藤夏海さん、ダンサーの石神ちあきさんが、見事に作品の世界観を体現してくれました。彼女たちはそれぞれの視点から作品の解釈をし、いつもMATHRAX作品の中に入り込んで楽しんでくれます。

今回は、地球からあるステラノーヴァの現象を眺める傍観者という役回りを石神ちあきさんにお願いしたのですが、その傍観者が宇宙から何かを受け取って新たな創造へとつなげていく人の様相を素晴らしい形で表現してくれ、私たちも大変救われた思いでした。

その空気をしっかりと写真に捉えてくれた写真家の香川賢志さん、出演者の繊細な動きが音になって音楽堂に拡がる様子まで伝えてくれた映像のトーマス・ベズウィックさん、サム・キングさん。

今回の制作を全般的にサポートしてくれ、見えない来場者の方にも配慮した角のない展示台を制作してくださった美山工房さん。舞台でのインストールに不慣れな私たちにいろいろとアドバイスをくださった神奈川県立音楽堂の技術チームの皆さん、スタッフの皆さんに心より感謝申し上げます。

また、この大変な状況の中、キュレーションをしてくださった茅ヶ崎市美術館の学芸員・藤川悠さんをはじめ、CG-ARTSの皆さま、出展作家の皆さま、撮影の冨田了平さん、大野隆介さん、主催・運営関係者の皆さまにも重ねて御礼申し上げます。


ステラノーヴァ Stella nova
作 家:MATHRAX〔久世祥三+坂本茉里子〕
形 態:サウンドインスタレーション
制作年:2015 –
写 真:香川賢志
映 像:トーマス・ベズウィック(監督・編集)、サム・キング(撮影)
出 演:小倉慶子&ブリス、加藤夏海、石神ちあき
会 場:神奈川県立音楽堂
協 力:美山工房

Stella nova [ 2015 – ]
Artworks [Installation] : MATHRAX〔Shozo Kuze + Mariko Sakamoto〕
Photograph : kenji kagawa
Movie Director / Editor : Thomas Beswick
Movie Camera : Sam King
Performance : Keiko Ogura & Bliss, Natsumi Kato, Chiaki Ishigami
Location : Kanagawa Prefectural Music Hall
Special Thanks : Miyama workshop, Kenji Kagawa


東京2020 NIPPONフェスティバル ONE -Our New Episode- Presented by Japan Airlines 「Our Glorious Future 〜KANAGAWA 2021〜」『アートのミライ』

主催:神奈川県/公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
共催:神奈川県立音楽堂/神奈川県立県民ホール
アート部門キュレーション:藤川悠(茅ヶ崎市美術館 学芸員)
制作:CG-ARTS(脇本 厚司、莇 貴彦、原 英里子)
映像・写真:西野 正将(全体)、冨田 了平(全体)、大野 隆介(撮影助手)、玄宇民(津田 道子作品)、三上 亮(津田 道子作品)
設営:東京スタデオ(玉村 大樹、中里 浩明、楠本 祥子、長尾 和典)、田部井 勝彦(MeAM studio)、中路 景暁、高橋 遼平
協力:和久井 真糸、TARO NASU

MATHRAX