「渋谷」らしい建築や空間、取り組みなどに贈られる「JIA渋谷アーキプライズ2024」のトロフィーをデザイン、制作させていただきました。

JIA(日本建築家協会)関東甲信越支部 渋谷地域会が主催する「JIA渋谷アーキプライズ2024」。写真やコメントの投稿で応募でき、渋谷の街を再発見できる面白いアワードです。

今回、建築家の牛込昇氏よりお声がけいただき、僭越ながら、このアワードのトロフィーを作らせていただくことになりました。

素材は、渋谷の邸宅に育ってきたケヤキの木。
建築家の牛込氏が、新しく住宅を建てる際にこのような立派な木を処分してしまうなんて忍びない…と思われたことをきっかけに制作が始まりました。

保管されていたケヤキの木

私たちは、ケヤキの丸太を乾燥・製材してもらうために、埼玉県と製材所のある神奈川県を行き来。

ケヤキ材は、耐久性に優れていますが、ものによっては捻れたり反ったりと暴れる性質があり、丁寧に乾燥させる必要があります。職人さんには、乾燥機に入れたり出したりを何度も繰り返してもらい、その後、丸太を挽いてもらいました。製材してもらうと、昔刺さったと思われる釘が出てきました。

釘が刺さったまま成長してきた様子

製材所に丸太を持ち込んで製材してもらうことを「賃挽き」といいます。普段、作品の材料を板材で購入する私たちにとって、あまり馴染みのない工程です。この「賃挽き」、万が一、丸太に釘などが刺さっていたりすると、刃物が欠けてしまうので、材木用として育てられた丸太以外は、製材所の方も挽きたがらないのが現状のようです。そのような中、引き受けてくださった職人さんには頭が上がりません。


トロフィーのアイデアスケッチ

トロフィーのデザインは、近年の不安定な世界情勢をふまえ、平和の象徴であるハトのモチーフをどっしりとした台座で支えたものにしました。私たちもトロフィー自体のデザインが初めてだったため、少し悩みましたが、手でふれたくなるようなものを目指しました。形を削り出した時に、ケヤキの美しい木目が出てきてくれてよかったです。

今年度の「JIA渋谷アーキプライズ2024」は、「駒テラス西参道」、「銀座線渋谷駅」が受賞されたとのこと。受賞された皆様、おめでとうございます!!
(なんとMATHRAXも感謝状をいただいてしまいました。ありがとうございます!)
JIA渋谷地域会の皆さま、牛込先生、渋谷区の皆さま、小高材木店さま、そして関係者の皆さまに御礼申し上げます。

JIA渋谷アーキプライズ2024」のために作られた冊子には、応募者の思いや審査員の丁寧なコメントが掲載されていました。審査の際には、皆で渋谷の街歩きを行い、現地を視察したそうです。応募者と建築家のそれぞれ目線から見た渋谷の街が豊かに交差し、とても魅力的なものになっていると感じました。もし次のアワードの開催があれば、皆様もぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。

MATHRAX