2025年、東京都世田谷区深沢に竣工したマンション「Brillia 深沢八丁目」のエントランスホールのために《つどいの木》という作品を制作させていただきました。

つどいの木  The bonds

形 態:インスタレーション
制作年:2025
場 所:Brillia 深沢八丁目マンション(東京建物株式会社)、エントランスホール
素 材:木(アカマツ、ブナ、ウォールナット、カバ、ケヤキ、トチ)、電子部品、ステンレス
サイズ:約 W2200 × D570 × H945
協 力:公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団、美山工房、コトリクスタジオ、小高材木店

《つどいの木 》は、「Brillia 深沢八丁目マンション」のエントランスに設置された、ふれて楽しむインスタレーション作品です。ハト、松ぼっくり、タマゴなどをモチーフにした木のオブジェにふれることで音を奏でます。天板には、「Brillia 深沢八丁目マンション」の建設前にあった日体幼稚園の園庭の赤松の木を用いています。これまでに赤松の木が時代を共にしてきた人々や生物、環境の繋がりや絆に思いを馳せ、今後もたくさんの人々が集う場になればという願いを込めています。


紹介映像

作品は、マンション内での展示のため普段は公開されていないのですが、NewsPicksさんの映像にも紹介いただいていますので、ぜひご覧ください。(アート作品は16分あたりからの紹介です。)

TOKYO-QUEST | 史上最高ランク「最新低層マンション」徹底調査【世田谷区編】 – NewsPicks

制作過程

以下、作品の制作過程についてのご紹介です。
このマンションのテーマは「建築と記憶の融合」。未来のヴィンテージとなる邸を目指して、記憶、近代建築、アートが交差する場としての住居となっています。

私たちは、かつては幼稚園だったこの地に長く根を下ろしていた赤松の木を次の時代へ引き継ぐべく、マンションのエントランスホールに設置するインスタレーション作品を制作することに。現地へ伺った際には、あまりに立派な赤松の大木に圧倒されました。


日体幼稚園の園庭に立つ赤松(右)、伐採の前には関係者でご祈祷を行いました

写真は「Brillia 深沢八丁目マンション」のサイトから引用

この赤松の木は、マンションの設計にあたり、どうにかそのまま残すことができないか思案されていたそうなのですが、残念ながら伐採の方向へ。しかし、この土地の歴史そのものでもある大樹を大切にしながら、建築やアートにその想いを引き継ぐことで、次の時代に繋げていくことは素晴らしいことだなと感じました。不動産会社、設計者、アーティストを含む関係者全員でご祈祷を行い、想いを一つにできたことは本当に良かったと思います。

伐採された赤松はカットと乾燥の作業へ。
赤松はマンション着工等のスケジュールの都合で夏に伐採をしたのですが、木としては一番水を吸い上げているシーズン。普段、板材を購入して作品制作している私たちも、実は伐採時期が重要だということを後々知りました。水分が多い赤松は黒いカビなども出やすいとのことで、板材を天板にするにあたり、職人さん方にもかなりご苦労をおかけすることに…。また、サイズもかなり大きかったため、いくつかの製材所を回って加工していただきました。
天板を支えるステンレス製の脚も同時進行で制作が進みます。作品制作には、いつもたくさんの方に協力いただくのですが、今回も職人さんたちのかっこよさに痺れました。

私たちは、皆さんの作業を見守りつつ、オブジェとシステムの制作へ。
鳥のイラストからCGを起こし、ある程度機械で切削した後、接着を行い、手作業で形を整え研磨します。
一才の子供がお昼寝した瞬間を見計らって、電子回路やプログラムの作業を始める&アトリエに駆け込むという日々が何日も続きました。(本当に猫の手も借りたかったです!)

赤松の下で拾った松ぼっくりもモチーフのアイデアの一つに

これまでは、もうすでに出来上がっている空間の中に作品を置くことが通常のやり方でしたが、今回は、マンションの着工前にデザインを決め、建築家の牛込昇先生が設計した建築のイメージを伺い、空間を想像しながらの制作でした。エントランスホールに作品を設置した際は、音が空間全体に響き渡り、ようやくイメージが実現した〜!と感無量でした。マンションに住まれる方々にも、ぜひたくさんふれていただけると嬉しく思っています。

この度お世話になりました、東京建物株式会社の皆さん、株式会社牛込昇建築設計事務所の牛込昇先生、公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団の皆さん、美山工房の鶴岡茜さん、コトリクスタジオの永井理明さん、小高材木店の皆さん、そしてこのプロジェクトに関わってくださった全ての方に御礼申し上げます。

MATHRAX