作曲家の宮内康乃氏が主宰する音楽パフォーマンスグループ「つむぎね」のサイトの立ち上げと
VIのデザインを担当させていただきました。
2008年に結成された「つむぎね」は、おもに女性の声や空間を使った独自のパフォーマンスで、
日々、様々なジャンルの公演やライブ、ワークショップなどを行っています。
主宰の宮内氏もメンバーの方も自然体で素敵な方々ばかりです。
こちらのページでは、VIデザインについて少しだけご紹介いたします。
〈つむぎねオフィシャルサイト〉
VI(ビジュアルアイデンティティ)、ロゴデザインの様子
以前より「つむぎね」のロゴのデザインには、
彼女たちの独自のパフォーマンス方法である「人の呼吸が続くまでをひとつのサイクルに、
人と人が声とつむいでいく」というルールを要素にしてみたいと思っていました。
たとえば、(こちらはどなたでもつむぎねのワークショップで体験することができますが)
自分の声や音を他の人に渡すような感覚、そして呼吸の音、
最後には自然の中の風や雨に溶け込んでいく音などが感じられるといいな…と思ったのです。
また、平仮名の柔らかさは女性らしさを連想させ、手によって書かれた文字は、
おのずと読む人に「時間」の要素を感じさせてくれます。
私の好きな文字のデザインのための書籍、
矢島周一氏(1895-1982)著「タイポグラフィの変遷とデザイン」(グラフィック社)には、
文字を書くことについて、このように書かれている箇所があります。
「書く心と歌う心、観る心と聞く心境の一致」
このことは、文字を書くことと音楽についての関係性を考えさせてくれる興味深い内容です。
リサーチのためにつむぎねワークショップに参加
また、ロゴをデザインをすることについては、このような要点が書かれています。
「ロゴが機能的に、能動力が神秘的に働くことがプランの中で検討されること」
これは、書かれた文字やロゴのデザインが、
静謐さを持ちながらも、まるで生きているかのように、
人に影響をあたえる働きをするものになっていくことを思わせてくれます。
デザインは、ただ見た目に美しいとか、それらしいものを作るだけでは、
適切な作業をしているとはいえず、
用途、環境、時間、対象目的、経費等、さまざまな要素と次元によって、
意義が円滑に通じ、印象的であるものを創造することが肝心であるとも言います。
これらの事柄について、バランスよく美しい仕事をし、
時代を超えて人にメッセージを与え続けるデザインをするのは至難の業ですが、
まるで矢島氏の生き様がそのまま表れているような言葉で、背筋がのびる思いがします。
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今回のデザインのキーは、彼女の活動を追う過程にこそ濃縮されていました。
以下は、デザインのためのリサーチも含め、彼女の活動を追った記録です。
どちらも特色のある公演ですが、ひとつひとつ丁寧に作り上げられている様子が分かります。
こちらもぜひご覧下さい。
また2/22(日)には、八王子セミナーハウスにてワークショップが開催されるそうですので、
ご興味のある方はぜひご参加ください。
・2月22日(日)つむぎねワークショップ in the forest vol.3
photographer KENJI KAGAWA
(フェスティバル/トーキョー14『春の祭典』 撮影:KENJI KAGAWA)
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