薔薇摘みと蒸留体験・香りのワークショップの様子vol.2。
午後は、整体師でありアロマセラピストの渕上愛子氏による「香りづくり」のワークショップを
体験させていただきました。
▶︎薔薇摘みと蒸留体験・香りのワークショップの様子 vol.1 はこちらからどうぞ。
このワークショップでは、自分の感覚をすませ、
自分の身体と会話をするようにアロマスプレーを作っていくのですが、
昨年、MATHRAXの展覧会「じぶんのまわり」展(茅ヶ崎市美術館)でも
関連プログラムとして行っていただき、大変好評でした。
なんと今回は、特別にアサオカローズさんの貴重なローズウォーターを使わせていただくことに。
とても贅沢です!
貴重なローズウォーターの試飲をさせていただくことに
オーバーナイトセンセーションとゴル・ムハマディの2種
整体師である渕上氏のワークショップの面白いところは、
自分たち自身の「身体」を、自分の「意識」とは別のものとして捉えるところにあるでしょう。
はじめはそのような身体の考え方、捉え方に驚いたのですが、
初めて施術をしていただいた際、
施術後の身体の軽さ、そして精神面との調和の感覚にびっくりしたのを覚えています。
ワークショップでは身体が動きたいままに動いてみる
渕上氏は、施術後、その人の身体の様子や動き方から「身体がこんなメッセージを発しているよ」
ということを教えてくれるのですが、
やはり身体は意識とは別の力、別の方法で日々働いてくれているんだなあと
気づかされるような実感がありました。
(実際に、今では日常で身体や体調の変化に気づくような慣習がつき、
私も次第に過度な無理をしなくなったような気がしています。)
そんな自分の身体の感覚に耳をすませながら、
一緒に香りを調合していくのがこのワークショップの面白いところなのです。
ワークショップ中に出てきた身体のイメージを色や形にしていく
その日気になる精油を気持ちの赴くままに調合してみる
ローズウォーターを精製水の代わりに
不思議とその人らしさを感じる香りに
最後は、一人ひとり、自分の感じたことや、実際に作った香りを参加者同士で体験し共有します。
一緒に参加してくださった浅岡さんが、私の表現したかった言葉と絵の意味を言い当ててくれ、
なんだかとても嬉しい気持ちに。
その人が作った香りが、その人らしさを含むものとして感じられるのも不思議です。
以前、渕上氏が、整体と人の身体について興味深いお話をしてくれたことがありました。
「整体の技術を使って、人の身体の歪みや痛みを、しばらくの間、改善することはできるけれど、
それはその人の痛みの元を取り除くための根本的な解決にはならないのかもしれない」と。
例えば、その人の持っているストレスや痛みが、
自分が仕事をしている、という実感ややりがいにリンクしている場合、
そのストレスや痛みは、自分にとってはその対価としてなくてはならないものだと、
そう思い込んでいる可能性もあるというのです。
例えば、人が無意識のうちにためてしまったストレスによって起こる身体の不調は、
身体の別の部分が補い、歪みや痛みなどの症状で他の場所に現れることもあるといいます。
例えば、施術によってその「痛み」だけを取ってしまうと
身体は一時的によくなったとしても、何か原因の分からない不安や寂しさを覚えたり、
中にはそれが不眠として現れるような方もいらっしゃったということでした。
改めて人間の身体と精神のつながりの深さ、複雑さ、精細さを感じ、
そして本来人にとってどのような生き方や生活がよいものか、じっくりと考えさせられるこのお話。
これは、私たちの関わっている芸術やデザインにも少なからずつながっていることだと思っています。
渕上氏の、整体師として何をすべきか、どのような施術をするべきかを
常に考えて続けていらっしゃる姿には、あたたかくも切実な思いを感じ、いつも尊敬の思いです。
今回のすばらしい旅へ同行させてくださった皆さま、
そしてアサオカローズさんにこの場を借りて御礼申し上げます。
MATHRAX