2019年の夏に茅ヶ崎市美術館にて開催された展覧会「美術館まで(から)つづく道」。展覧会に至るまでのリサーチとして茅ヶ崎でのフィールドワークを行った様子を紹介しています。
2018年7月29日の第四回目は、車椅子ユーザーの和久井真糸さんと共に、茅ヶ崎市美術館から海までを歩きました。表現者は、アーティストであり理化学研究所 脳神経科学研究センターの研究員でもあるアーサー・ファンさんです。私たちはアクティブな和久井さんに驚くことばかり。夏祭りのような1日でした。
フィールドワークやワークショップの様子は、茅ヶ崎市美術館のブログでも詳しく紹介されていますので、ぜひそちらもご覧ください。(記事の下にリンクを記載しています)
photo: kenji kagawa
アーティストのアーサー・ファンさん(左)と車椅子ユーザーの和久井真糸さん(右)
和久井さんは車椅子の高さの目線で風景を楽しんでいる
そして様々なものに触れながら道を進む
和久井さんの目線になるとアーサーさんの背がどんどん小さくなってくる
自転車用のスロープを降りるのもゲーム感覚!
砂浜を行く車椅子が新鮮すぎて…
海の家「山田屋」さんも大歓迎!
軽食や飲み物を買って美術館へ
標識のポールと塀の間をギリギリすり抜けてみる遊び心も忘れない
フィールドワークの気づきを感情マップに.
和久井さんはどうやったら行きづらい場所に行けるか、いつも楽しみながら考えている
今日のアートワークにはワイヤークラフトを使用.
「せまい」「低い」のネガティブワードが、ポジティブな「挑戦」に変わっていくという印象を形に
第2ラウンドでは、紐やテープなどを使って大きく空間を使って実施.
和久井さんの「挑戦」は、道を上がったり下がったりと大きな運動を伴っている
「和久井さんには見え方の発見がある」とアーサーさん.
和久井さんは「逆に皆が自分に対して自分の知らない見方をしているんだ」と新鮮に感じたそう.
アーサーさんは今後、本制作に向けて数十回も茅ヶ崎を歩いていくことになる
参加者プロフィール
和久井 真糸
エーラスダンロス症候群患者会/車椅子ユーザー
結合組織が弱いエーラスダンロス症候群と中枢神経が壊れる視神経脊髄炎という難病をもつ車椅子ユーザー。患者の生活環境向上をめざし活動するとともに、障害や難病の経験を元に講演会を積極的に実施。
アーサー・ファン
美術家/理化学研究所脳神経科学研究センター研究員
1972年米国生まれ。毎日の通勤や散歩の記憶を線で描き、インスタレーションや平面作品として展開。日常のありふれた行動を見直す事により、物事に対して新たな視点を持つ事を意識している。
第四回フィールドワーク&ワークショップ 参加メンバー
感覚特性者
和久井真糸(感覚特性:車椅子ユーザー)
表現者
アーサー・ファン(アーティスト)
コアメンバー
鎌倉丘星(株式会社インクルーシブデザイン・ソリューションズ取締役/弱視・車椅子)
久世祥三(エンジニア/アーティスト/湘南工科大学教員)
坂本茉里子(デザイナー/アーティスト)
藤川悠(茅ヶ崎市美術館学芸員)
サポーター&リポーター
野呂田純一(公財)かながわ国際交流財団 副主幹
谷津光輝(湘南工科大学総合デザイン学科 久世研究室)
記録
香川賢志(写真)
金明哲(映像)
〈企画〉茅ヶ崎市美術館
〈主催〉公益財団法人茅ヶ崎市文化・スポーツ振興財団/公益財団法人かながわ国際交流財団
〈協力〉湘南工科大学総合デザイン学科/㈱インクルーシブデザイン・ソリューションズ
〈関連事業〉MULPA(マルパ):Museum UnLearning Program for All/
みんなで“まなびほぐす”美術館―社会を包む教育普及事業―
マルパ特設サイト
▷ 関連記事:茅ヶ崎市美術館「美術館までつづく道」レポート9
▷ 関連記事:茅ヶ崎市美術館「美術館までつづく道」レポート10
MATHRAX