2023年7月8日(土)− 8月27日(日)、大阪府堺市の文化観光施設「さかい利晶の杜」にて開催された展覧会『茶の湯に吹く風 みる・きく・ふれる・現代アート』にて展示した《風と石》、《いしのこえ》のご紹介です。

Photo: Kenji Kagawa / Model:Mieko Asada

風と石〈小雪〉〈雨水〉Wind and stone [ Light snow ] / [ The rains ]

風と石〈小雪〉Wind and stone [ Light snow ]
形 態:オブジェ
制作年:2020
素 材:石(水晶、アメジスト、タイガーアイ、ラブラドライト)、
    木(シャムガキ、ウォールナット)、電子部品
サイズ:約H160×W500×D160

風と石〈雨水〉Wind and stone [ The rains ]
形 態:オブジェ
制作年:2020
素 材:石(ソーダライト、水晶、パイライト)、木(クロガキ、ウォールナット)、電子部品
サイズ:約H160×W500×D120

 この展覧会のタイトル『茶の湯に吹く風』にもあるように、「風」は、茶の湯にも関係の深い禅の世界において、見えないものや常に移ろいゆくものを意味しています。また、どこにでも存在するものである、という仏性も表しています。この《風と石》は、鑑賞者が「風」そのものになり、石や石の周辺に指を滑らせることによって、季節や風景を想起させる作品です。

いしのこえ Voice of the stone

いしのこえ Voice of the stone
形 態:インスタレーション
制作年:2016
素 材:石、木、電子部品
サイズ:可変
協力:茅ヶ崎市立西浜中学校、茅ヶ崎市立松林中学校、茅ヶ崎市美術館

 《いしのこえ》は、とあるネイティブアメリカンの「石の声を聴くスキル」からインスピレーションを受けて制作したものです。彼は荒野でのサバイバルの修行中に命の危険にさらされますが、一つだけ光る石を見つけ、その石から火を起こす方法を教えてもらいます。彼はその教えの通りに石を削り、火打ち石にしました。なぜなら、まず身体を温めることこそが、その時彼が生き延びるために必要なことだったからです。石の声は、〈わたし〉と石との間に生まれます。今、〈わたし〉と石の間にはどのような声が生まれてくるのでしょうか。

 今回の展覧会では、茶事にて提供される懐石料理の由来となった「温石」(僧侶が懐に入れて飢えや寒さを凌いだと言われる石)などから連想される石の作品を出展しています。

MATHRAX